原作は斎藤惇夫による『冒険者たち~ガンバと十五匹の仲間』という、まさに児童文学の金字塔とも言える作品。しかし,出崎統監督の手にかかると、単なる名作の域を超え、独自の風味を醸し出す傑作へと昇華される。出崎監督はその後も『家なき子』(77年)や『宝島』(78年)といった名作を次々と手掛け、そのすべてに共通するテーマは少年の壮大な冒険と成長であり、その演出スタイルはまるで疾風のように速く、スリリングな展開で観る者の心を掴んで離さない。そして『ガンバ』は、その壮大な物語の第一弾として位置づけられる。アニメ化に際しては、メインキャラクターを7匹に厳選し、原作にはなかったオリジナルエピソードを大量に盛り込むことで、ノロイとの戦いを中心に据えた原作とは一線を画し、ガンバたちの冒険が光り輝く旅路として描かれる。これによって、キャラクターたちの魅力が余すところなく発揮された。作画監督には椛島義夫が名を連ね、各話の演出は出崎監督を筆頭に御厨恭輔、竹内啓雄、吉田茂承といった才人たちが手がけたが、全話にわたる芝山努による画面レイアウトにより、テレビアニメとしては破格の統一感が生まれた。原画には近藤喜文や川尻善昭、金沢比呂司といった名手が揃い、その緻密な作画は視覚の饗宴を提供する。エンディングは近藤喜文の手によるもので、その感動を引き立てる。美術を担当する小林七郎は、冒険の舞台にふさわしいラフでワイルドなタッチを駆使し、さらに「ネズミの目線」という難易度の高い課題も見事に克服して見せる。出崎監督と小林七郎のコンビによる、止め絵からイラストへと移行するハーモニーの手法は、この作品の独特な雰囲気をさらに引き立てる要素となっている。声優陣も印象的で、ガンバ役の野沢雅子は、その陽気でアグレッシブな演技の中に素直な感受性を宿らせ、見る者の心を奪う。また、ノロイ役の大塚周夫は、不気味なカリスマ性を怪演し、作品に深い影を落とす存在感を放っている。1984年(S59年)には再編集され、『冒険者たち~ガンバと7匹のなかま~』として劇場版が製作され、ここではノロイとの戦いがメインになっており、原作に近い仕上がりとなっている。まさに、名作が新たな命を吹き込まれた瞬間であった。g